【完全版】AIエージェントの作り方を基礎から解説|基本5ステップやツールの選び方、開発の注意点までご紹介

AIエージェントを作ってみたいと思っても、最初にぶつかりやすいのが「そもそも何をAIエージェントと呼ぶのか」「生成AIやチャットボットと何が違うのか」「どこから手を付ければよいのか」という整理の難しさです。

実際、ノーコードで試せるものから、ローコードで業務に合わせて組み立てる方法、フルコードで本格開発する方法まで選択肢は広く、作り方を決める前に考えるべきことも少なくありません。

とくに業務で使う場合は、動けばよいわけではなく、回答精度やシステム連携、権限管理、運用コストまで見据えて設計する必要があります。

この記事では、AIエージェントの基本から、生成AI・チャットボット・RPAとの違い、作る前に決めること、ノーコード・ローコード・フルコードの使い分け、具体的な作成手順、ツール選定、費用、注意点まで順番に整理します。

これから初めて作る方はもちろん、PoCで終わらせず実務で使える形に近づけたい担当者にも役立つ内容です。

AIエージェントとは

AIエージェントとは

AIエージェントとは、与えられた指示に対して単に文章を返すだけでなく、目的に向かって複数の手順を考え、必要に応じてツールやデータを使いながら処理を進める仕組みのことです。

たとえば「問い合わせ内容を分類して、関連情報を検索し、必要なら担当部署へ連携する」といった一連の流れを、ある程度自律的に実行できるのが特徴です。

生成AIが“賢い頭脳”だとすれば、AIエージェントはその頭脳に加えて、検索、外部ツール実行、メモリ、ルール処理などを組み合わせた“動ける仕組み”と考えると理解しやすいでしょう。

AIエージェントは「会話するAI」ではなく、「目的達成のために行動するAI」と捉えることが重要です。

この違いを押さえておくと、作る際に「ただ回答するだけの仕組みでよいのか」「実際に業務処理まで任せたいのか」を切り分けやすくなります。

AIエージェントと生成AI・チャットボット・RPAの違い

AIエージェントの作り方を考えるうえでは、似た言葉との違いを最初に整理しておきたいところです。

種類 主な役割 得意なこと 限界になりやすい点
AIエージェント 目的に応じて手順を組み立て、必要な処理を進める 複数ステップの業務実行、検索、連携、判断補助 設計が曖昧だと暴走や誤処理が起きやすい
生成AI 入力に応じて文章やコードを生成する 要約、下書き、質問応答、発想支援 単体では外部処理や継続的な業務実行が弱い
チャットボット 会話形式で案内や回答を返す 定型FAQ、一次受付、簡単な問い合わせ対応 複雑な判断や多段階処理には向きにくい
RPA 決められた手順を自動実行する 定型操作、画面入力、転記、繰り返し作業 曖昧な指示や非定型判断には弱い

生成AIは、自然言語を理解して回答や文章生成を行う基盤技術です。

一方でAIエージェントは、その生成AIを中核にしながら、外部データ検索、API実行、メモリ保持、条件分岐などを加えて、より実務寄りの動きを実現します。

チャットボットとの違いも重要です。

チャットボットは会話窓口として非常に有用ですが、多くの場合は「質問に答える」ことが中心です。

これに対してAIエージェントは、問い合わせ内容に応じて社内ナレッジを調べ、必要ならチケットを起票し、担当者へエスカレーションするといった、次のアクションまで設計できます。

RPAはさらに性格が異なります。

RPAは、あらかじめ定めたルールどおりに操作を繰り返すのが得意ですが、曖昧な問い合わせの解釈や文脈理解は得意ではありません。

そのため、「非定型な判断はAIエージェント」「定型操作の実行はRPA」という役割分担にすると、実務で活かしやすくなります。

AIエージェントを作る前に決めること

AIエージェントは、先にツールを決めるよりも、何のために作るのかを明確にする方が重要です。

事前整理が甘いまま開発を始めると、動くものはできても、現場で使われないケースが起こりやすくなります。

作る前には、少なくとも次の点を決めておきましょう。

  • 対象業務は何か
  • どこまで自動化したいか
  • 成功をどう判断するか
  • 利用するデータは何か
  • 誰が使い、誰が管理するか
  • 人の確認をどの段階で入れるか

まず決めたいのは対象業務です。

営業支援、社内ヘルプデスク、問い合わせ一次対応、議事録整理、経費処理補助など、用途によって必要な機能は大きく変わります。

「何でもできるエージェント」を目指すより、1つの業務に絞った方がPoCは成功しやすいでしょう。

次に、自動化の範囲を決めます。

回答案の作成までにするのか、メール送信やチケット起票まで任せるのかで、求められる安全設計や権限管理は変わります。

最初から完全自動化を狙うより、「提案はAI、最終判断は人」の形から始める方が失敗を抑えやすいことも多いです。

また、成功基準も曖昧にしないようにしましょう。

たとえば、対応時間の短縮率、一次回答率、担当者の工数削減、検索時間の短縮など、測れる指標を置いておくと改善しやすくなります。

さらに、利用するデータの質も重要です。

社内文書が古い、表記ゆれが多い、権限管理が曖昧といった状態では、AIエージェントの精度以前に、参照情報の信頼性が問題になります。

AIエージェントの作り方の選択肢

AIエージェントの作り方には、大きく分けてノーコード、ローコード、フルコードの3つがあります。

どれが優れているというより、目的、体制、スピード、拡張性に応じて使い分けるのが基本です。

ノーコード

ノーコードは、画面上の設定やブロック操作を中心にAIエージェントを組み立てる方法です。

プログラミングの知識が少なくても試しやすく、PoCや小規模な社内利用に向いています。

一方で、複雑な例外処理や細かな制御、独自システムとの深い連携には限界が出やすいでしょう。

ローコード

ローコードは、基本はGUIで構築しつつ、必要な部分だけコードやAPI連携で補う方法です。

現場での試しやすさと、業務に合わせた柔軟性のバランスを取りやすいため、多くの企業にとって現実的な選択肢になりやすいです。

PoCから本番運用へ段階的に育てたい場合にも相性がよい方法といえます。

フルコード

フルコードは、要件に合わせてゼロから設計・開発する方法です。

自由度が高く、複数システム連携、細かな権限制御、複雑なワークフロー、監査対応などにも対応しやすい反面、開発体制や予算が必要になります。

基幹業務に組み込む場合や、既存ツールでは要件を満たせない場合に検討されやすい方式です。

方式 向いている場面 メリット 注意点
ノーコード 初期検証、小規模利用、非エンジニア主導 立ち上がりが早い、試しやすい 複雑な制御や連携には制約がある
ローコード PoCから業務利用への移行、中規模運用 柔軟性と速度のバランスがよい 一部は技術理解が必要になる
フルコード 本格運用、基幹連携、高い独自要件 自由度が高く拡張しやすい 開発コストと運用負荷が大きい

選ぶ際は、現在の技術力だけでなく、半年後や1年後にどこまで育てたいかまで見て判断することが大切です。

AIエージェントの作り方 5ステップ

AIエージェントの作り方 5ステップ

AIエージェントの作成は、一般的に次の流れで進みます。

  1. 対象業務と要件を整理する
  2. 作成方法とツールを選ぶ
  3. 小さく試作する
  4. 評価して改善する
  5. 本番運用と監視体制を整える

ここでは、それぞれの工程で何を押さえるべきかを見ていきましょう。

1. 対象業務と要件を整理する

最初の工程では、どの業務に何をさせるかを具体化します。

入力は何か、出力は何か、誰が使うのか、どこで人の確認を入れるのかまで決めておくと、後工程がぶれにくくなります。

たとえば「社内問い合わせ対応」でも、単なるFAQ回答なのか、マニュアル検索付きなのか、申請起票まで含めるのかで設計は大きく変わります。

2. 作成方法とツールを選ぶ

要件が見えたら、ノーコード、ローコード、フルコードのどれで作るかを決めます。

ここで重要なのは、見た目の使いやすさだけで選ばないことです。

社内データ連携、権限制御、ログ取得、日本語対応、運用のしやすさまで確認しておかないと、試作後に作り直しになりかねません。

3. 小さく試作する

いきなり本番向けに大きく作るより、対象業務を絞って小さく試すのが基本です。

この段階では、代表的な質問や処理パターンを使い、どこまで正しく動くかを検証します。

とくに、正常系だけでなく、曖昧な入力や例外ケースも試しておく必要があります。

4. 評価して改善する

試作後は、精度、速度、操作性、業務適合性を確認します。

回答の正しさだけでなく、使う人が迷わないか、誤操作しにくいか、引き継ぎしやすいかも見ておきましょう。

AIエージェントは一度作って終わりではなく、ログを見ながら改善して精度を上げていく運用が前提です。

5. 本番運用と監視体制を整える

本番運用では、アクセス権限、ログ監視、障害時の切り戻し、プロンプトや参照データの更新体制まで整える必要があります。

とくに業務実行を伴う場合は、誰が承認し、誰が責任を持つのかを明確にしておくことが欠かせません。

もし導入初期で迷うなら、次のように段階を分けると進めやすくなります。

FAQ回答の試作
↓
社内文書検索を追加
↓
チケット起票や通知を連携
↓
一部処理を半自動化

このように、自動化範囲を少しずつ広げる進め方なら、現場の負担やリスクを抑えやすいでしょう。

AIエージェント作成に使うツールの選び方

ツール選定では、機能の多さよりも、自社の目的に合っているかを軸に見ることが大切です。

確認したい観点は次のとおりです。

  • どの業務で使うのか
  • ノーコードで足りるか、カスタマイズが必要か
  • 社内システムや外部サービスと連携できるか
  • 日本語対応やサポート体制は十分か
  • PoC向きか、本番運用向きか
  • ログ、権限管理、監視機能を備えているか
  • 料金体系が利用量と合っているか

まず、用途に合うかを確認しましょう。

問い合わせ対応向けのツールと、業務自動化向けのツールでは得意分野が異なります。

社内ナレッジ検索を重視するのか、ワークフロー連携を重視するのかで選ぶべきものは変わります。

次に、自社の技術体制との相性も見逃せません。

非エンジニア主体で運用したいなら、画面から修正しやすいツールの方が定着しやすくなります。

反対に、複数システム連携や独自ロジックが必要なら、ローコードやフルコード前提の方が後で困りにくいはずです。

また、本番運用を考えるなら、ログの保存、利用履歴の確認、権限管理、運用監視のしやすさまで確認する必要があります。

PoCでは便利でも、本番に必要な監査性や権限管理が弱いツールだと移行時に詰まりやすくなります。

選定時は、無料プランやトライアルで試せる範囲と、有料移行後に使える機能の差も確認しておきたいところです。

AIエージェント作成・運用にかかる費用

AIエージェントの費用は、どの方法で作るか、どこまで業務に組み込むかによって大きく変わります。

まずは代表的な相場感を整理すると、次のようになります。

支援内容 費用相場 条件・補足
SaaS利用 月額数万円〜数十万円程度 既製ツールやSaaS型AIエージェントの一般的な相場。導入しやすい小規模利用を含む。
PoC 数十万円〜 対象業務を絞った概念実証の一般的な目安。小さく検証してから本格投資する前提。
本格開発 数百万円〜 個別開発・構築型の本格導入目安。既存システム連携や業務組み込みで増額しやすい。

比較的始めやすいのは、既製ツールやSaaSを使う方法です。

一方で、社内システム連携や独自業務への組み込みが増えると、PoCや個別開発の費用が膨らみやすくなります。

費用を左右する主な要因は多岐にわたりますが、とくに影響が大きいのは次の項目です。

  • 対象業務の複雑さ
  • 回答だけでなく処理実行まで任せるかどうか
  • 連携するシステムの数と接続難易度
  • RAGや社内文書取り込みの有無
  • セキュリティ、権限管理、監査対応の要件
  • 利用者数や利用頻度
  • AIのAPI利用量やクラウド費用
  • 保守、監視、改善の範囲

見積もりを取る際は、初期費用だけで判断しないことが大切です。

たとえばPoC費用に本番運用、例外処理、監視が含まれているかどうかで、後から必要になる追加コストは変わります。

また、LLMのAPI利用料が月額固定か従量課金かでも、運用フェーズのコスト感は大きく異なります。

「作る費用」だけでなく、「使い続ける費用」まで含めて見積もることが、失敗を防ぐうえで欠かせません。

無料プランや小規模な検証環境から始められるツールもありますが、利用量が増えるとAPIコストや有料機能の費用が発生しやすいため、本番移行時の前提条件を確認しておきましょう。

AIエージェントを作るときの注意点

AIエージェントを作るときの注意点

AIエージェントは便利な一方で、設計を誤ると誤回答、誤処理、情報漏えい、コスト増加といった問題につながります。

作るときは、機能面だけでなく運用面も含めて考える必要があります。

  • 誤回答や誤処理を前提に設計する
  • 権限管理を厳密にする
  • 参照データの品質を整える
  • ログ取得と改善サイクルを準備する
  • コスト上振れを監視する
  • 人への引き継ぎルールを決める

まず重要なのは、AIが必ずしも正しく判断するとは限らない前提に立つことです。

とくに社外返信や基幹データ更新のような重要処理では、自動実行の前に人の承認を入れる設計が有効です。

次に、アクセス権限の管理も欠かせません。

社内文書や顧客情報を参照するエージェントでは、誰がどの情報にアクセスできるかを細かく制御しないと、利便性よりリスクが上回るおそれがあります。

また、精度はモデル性能だけで決まりません。

古いマニュアルや誤ったデータを参照すれば、回答も当然不安定になります。

そのため、ナレッジの更新フローや、どの情報を信頼ソースにするかのルールを作っておく必要があります。

さらに、運用開始後の監視も重要です。

どんな質問で失敗したのか、どの処理で止まったのか、利用量がどれだけ増えたのかを見ないままでは改善できません。

AIエージェントは開発よりも、運用ルールと改善体制の設計が成果を左右しやすいと考えておくとよいでしょう。

AIエージェントの活用事例

AIエージェントは、単なる会話ツールとしてではなく、業務の前後工程まで含めて設計すると活用しやすくなります。

ここでは代表的な使い方を紹介します。

社内ヘルプデスク対応

人事、総務、情報システム部門への問い合わせ対応で活用しやすい領域です。

社内規程やマニュアルを検索し、質問内容に応じて回答案を出すだけでなく、解決できない場合はチケット起票や担当者への引き継ぎまでつなげられます。

営業支援

顧客とのやり取り履歴や提案資料を参照しながら、メール文案作成、商談準備、FAQ回答補助などを行う活用法です。

単なる文章生成ではなく、案件情報の整理や次回アクション提案まで含めると、エージェントらしい設計になります。

問い合わせ一次対応

カスタマーサポートでは、問い合わせ内容の分類、関連情報の検索、回答候補の提示、必要時のエスカレーションまで一連で処理できます。

定型質問が多い領域では、チャットボットよりも柔軟な応対が期待できます。

バックオフィス業務補助

経費処理、申請確認、文書作成補助、社内申請の案内など、ルールベースと自然言語理解を組み合わせると効果が出やすい領域です。

AIエージェントが内容を読み取り、必要情報を整理し、次の処理に回す形にすると、担当者の確認負荷を下げやすくなります。

このように、AIエージェントは「回答するだけ」の用途よりも、「回答の先にある業務処理までつなげる」用途で価値が出やすい傾向があります。

AIエージェント作り方のよくある質問

Q.1 AIエージェントとは何ですか?

AIエージェントとは、生成AIを中核にしながら、検索、外部ツール連携、メモリ、条件分岐などを組み合わせて、目的に沿って処理を進める仕組みです。単に質問へ答えるだけでなく、複数ステップのタスクを実行できる点が特徴です。

Q.2 プログラミング知識がなくても作れますか?

はい、ノーコードや一部のローコードツールを使えば、プログラミング知識がなくても試作しやすいです。ただし、社内システム連携や複雑な権限制御、本番運用レベルの監視設計が必要になると、技術担当者の関与が必要になる場合があります。

Q.3 AIエージェントとRPAの違いは何ですか?

RPAは決められた手順を正確に繰り返すのが得意です。一方、AIエージェントは自然言語を理解し、状況に応じて情報を探したり処理の流れを選んだりできます。非定型判断はAIエージェント、定型操作はRPAという使い分けが現実的です。

Q.4 作成・運用にかかるコストはどれくらいですか?

既製ツールやSaaSを使う小規模利用であれば月額数万円〜数十万円程度、PoCは数十万円〜、本格開発は数百万円〜が一般的な目安です。ただし、連携するシステム数、求める精度、セキュリティ要件、利用量によって大きく変わるため、見積もり条件の確認が欠かせません。

Q.5 どのツールを選べばよいですか?

まずは用途から考えるのが基本です。問い合わせ対応中心なら会話設計やナレッジ検索に強いもの、業務自動化中心ならワークフロー連携に強いものが向いています。加えて、ノーコードで十分か、API連携が必要か、日本語対応や運用監視機能があるかも確認しましょう。

Q.6 本番運用でとくに注意すべきことは何ですか?

誤回答や誤処理を前提にした設計、アクセス権限の管理、ログ監視、コスト監視、人への引き継ぎルールの整備が重要です。PoCでうまく動いたとしても、本番では監査性や例外処理が不足しやすいため、運用設計まで含めて準備する必要があります。

自社に合ったAIエージェントの作り方を選ぼう

AIエージェントを作るときに最も重要なのは、先にツールを選ぶことではなく、どの業務で、どこまで任せ、どのように成果を測るのかを明確にすることです。

同じAIエージェントでも、社内問い合わせ対応向けの小規模な仕組みと、基幹システムに連携する本格運用では、必要な設計もコストもまったく異なります。

そのため、比較すべきなのは流行や知名度ではなく、ノーコード・ローコード・フルコードの適性、連携範囲、権限管理、ログ監視、改善しやすさといった実務面です。

まずは対象業務を1つに絞り、小さくPoCを行い、想定利用量や必要なデータ、承認フローを整理してみましょう。

作成方法や運用条件を整理したうえで進めると、費用、精度、定着性のバランスを見ながら、自社に合った形へ育てやすくなります。

自社だけで要件整理や設計、運用体制づくりまで進めるのが難しい場合は、AI導入支援や開発の専門家に相談するのも一つの方法です。

とくに、本番運用を前提にしたセキュリティ設計や既存システム連携、改善サイクルの構築は、経験のある外部パートナーが入ることで進めやすくなるでしょう。

エラビサキでは、AIエージェント開発会社の対応領域・提供形態・実績・料金などを整理し、自社の条件から発注先候補を比較できるデータベースを構築していきます。

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